角田陽一郎

僕ら読書好きの多くは「本を読むと楽しいですよ、人生が変わるきっかけになりますよ」「直接できない体験や、会えない場所や時代の人とアクセスすることができるんですよ」と、本を読まない人に伝えたことがあると思います。 でも、本を読まない人には、それ以前の問題なのです。読書のよさをいくら言われても、本自体にアクセスすることが面倒なのです。つらいし、時間がかかるし、楽しくないし、よくわからないし、不便だから。 つまり、旅好きな人に「海外旅行は楽しいですよ」と言われても、成田空港に行くのが面倒だからという理由で行かないような。 「いや、角田さんの言っていることは、なんとなくわかりますよ。海外旅行は楽しいんですよね。でも、成田空港って遠いじゃないですか? いちいち成田まで行くの、つらいし、時間かかるし、楽しくないし、よくわからないし、不便じゃないですか。なんでそうまでして、わざわざ海外に行かなきゃいけないんですか?」 こういう感じで、海外に行く前に、そもそも空港に行く前で、彼らは読書を敬遠しているのでした。